たばこ さんの感想・評価
4.0
徹底的に視聴者にツッコミをさせる仕組み
レビュータイトルの一言で全てを語りつくしてしまった感があるが。
設定のくだらなさ、かつ、その新鮮さは言うまでもないのだけれど、一番感心したのが、まさに
●常に視聴者につっこませる徹底っぷり
だ。
大体が、こういう「どうでもいいことにマジになっているアニメ」で一番しらけるのが、登場人物の中に「ちょっと冷めた奴」がいて、随時そいつが寒いツッコミを入れる、というパターンだ。
「何半額弁当ごときに、まじになってんですか」
なんてセリフを、アニメ内の何かのキャラに言わせようものなら、とんだ興ざめだったはずだ。
そうなれば、視聴者は「面白くも無い一人ノリツッコミ」を永遠見させられるハメになる。
制作サイドのマスターベーションになっていたはずだ。
「たかが弁当ごときに」という点を、アニメ内のキャラに言わせるのではなく、それを視聴者に言わせなければならない。
このアニメは、そこらへんが徹底している。
あらゆる登場人物が、真正面から、半額弁当と向き合い、悩み、葛藤し、格闘する。
全ての登場人物が、だ。
それを傍目からちゃかしたり、ガヤを入れる脇役キャラは一切存在しない。
だから、視聴者は、うっかり「このわけのわからん、半額弁当バトル」にいつの間にか引き込まれる一方で、ふと「いやいや、なに弁当ごときにまじになってんですかw」と自らツッコミを入れざるを得ない、という絶妙なバランスに身を置くことになる。
ここら辺の徹底っぷりが、単なる斬新な設定だけではないこのアニメの評価ポイントだ。
もっと言うと、このアニメは設定が面白いのではないのだ。
その面白い設定をしっかりと活かしきれたことこそが、面白いのだ。